わがままなメニュー
毒を盛っても死なない女
日曜日、お昼前に晴彦が迎えにきた


『ごめんね、せっかくの休みに』


『いいさ。お母さん達にも長い事会ってないし。ドライブはいつでも行ける』


長谷川晴彦 30歳


糸川商事勤務、趣味はカメラ


W大学卒の次男坊


女にしたらきっといい物件である


出会いは会社の飲み会で、たまたま上司の知り合いということで紹介された


付き合って1年半、でもプロポーズの件以来、晴彦は私に遠慮気味である


『今年の研修旅行やめになったんだって?』


『そう。経費削減で、忘年会に箱根に一泊だけらしいわよ。まあ研修旅行も今までがいいとこ行き過ぎなのよね』


『そうだな、花乃子が入社する前なんか海外だったし…でも箱根いいじゃないか。俺達も今度連休にいってみるか?』


『そうね、京都旅行以来行ってないもの』


『美沙子ちゃんの話しが落ち着いてからいくことにしよう。しかし結婚はいいとして大学卒業まで待てないのかな…』


『そうなのよ…相手が社会人の方ならそれ優先してほしいわ。大学だってタダで入れたんじゃないし…』


まったくどんな奴か顔見てやりたいもんだ
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