わがままなメニュー
三階からの眺めはたいしたことない


お弁当を突きながら私は思った


私の玉子焼きはいつもより美味しくて、ささ身の照り焼きもグッドである


温かいほうじ茶の香りは会議室を包み込む


『あれ?ここはいつから休憩所になったの』


振り向くとダブルのスーツを着た、中年の男が立っていた


『あ…すみません。会議室です』


『今時自分でお弁当なんて珍しいね。君の部署は?』


『企画部の本城です。すぐでていきますから』


『いや、いいよ。ごゆっくり。企画部の会議室は何階?』


『6階です』


『ありがとう、本城さん』


中年男はニッコリ笑うと部屋を出て行った


年は45歳くらい、髪を後ろでしばり、顔は悪人顔だった…イケメンの


私は慌ててお弁当を食べて、部屋を掃除した


ホテルで化粧直しをして、コーヒーを飲んだ


あの人誰なんだろう。うちの会社の人じゃない


部長に告げ口されそうだ。お宅の本城は会議室で弁当食べてましたよって
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