わがままなメニュー
夜になって、晴彦が様子を見に来てくれた


『気分どうだ?めまいしないか?』


『うん、大丈夫。薬効いたみたいよ』


『よかった。今日は俺が飯作るから、花乃子は寝てろよ』


晴彦は買い物袋から材料を出して、パスタを湯がき始めた


器用に野菜を切っている

この人と結婚したら幸せになれるんだろうな…


『イカと野菜のパスタ。たくさん食べろよ』


晴彦の笑顔には癒される

『晴彦、私ね、ずっと思ってる事あるんだけど聞いてくれる?』


『なに?』


『私、仕事は定年まで続けるつもりの覚悟あるの…それでね、今はとても結婚なんて考えられなくて、この先もビジョンが見えない。晴彦とはこんなラフな感じの付き合いというか、パートナー的な関係でいたいの。勿論一緒に暮らすっていう選択もある。でもそれは結婚を前提にしないでの同棲がいいの…』


『花乃子…』


『今まで中途半端な答えばかりだったから、ホントの気持ち伝えたくて』


『なんでそれが結婚じゃダメなんだ?籍いれても同じじゃないか。仕事の事も賛成するし、子供できても協力するよ…なんでそんなに結婚を嫌うんだよ』


『わかってよ…結婚に縛られて仕事したくないし、晴彦との仲も崩したくないのよ』


『もういい!花乃子の言ってる事は矛盾しまくりだ!お互いしばらく会わないでおこう、俺帰るから』


ドアが大きな音をたてて閉まった


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