わがままなメニュー
実家からマンションに戻った時、直田さんから電話があった


『あけましておめでとう。どう?ご飯でもいかない?』


『おめでとうございます。いいわよ。まだお昼食べてないし』


『よし決まりだ。赤坂サカスで待ってるからすぐ来てよ』


強引な人である


私は支度して赤坂サカスまで出掛けた



直田さんは紺色のコートを着て、私を待っていた

『思ったより早かったね。安くて美味しいイタリアンの店あるんだ』


『直田さんがプロデュースしたの?』


『いや、全然ちがう。雑誌で見つけた店』


直田さんは私の冷たい手を握ると、店まで連れていってくれた


彼の手は暖かくて気持ちよかった


『なんでもいけたよね?お任せでいい?』


『ええ』


『でさ、別れた彼氏とは連絡なし?』


『ないわね。いいの、もう諦めてるから。わがまま女の末路よ』と私は苦笑いした


『わがままな女は魅力的なのにな…』


『直田さんの場合、そのわがまま女を手なずけるのが楽しみに聞こえるわ』


『わかる?その通り』と彼は笑った


悪戯っ子のように笑う直田さんにつられたのか、私も笑ってしまった
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