あたしと彼と白いキャンバス
不機嫌そうな表情こそしていないものの、その顔はさっきから無表情で。

まるで仮面だ。

ひとりだけ『俺に構うな』みたいな雰囲気を漂わせている。



怒っているんだろうか?


理由はよくわからないけど。




「…それがすっごいいい映画だったんですよー。あたし泣いちゃって」

「そうなんだあ。先生も観てみようかなあ」


はるな先生の目が篠宮先輩にとまる。


「あ、そのパンフレットが今観てきたやつなの?」

「………」


篠宮先輩は答えない。
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