あたしと彼と白いキャンバス
場の空気が凍った気がした。




「うん、そうそう、そのパンフレット」


空気を溶かしたのは新太郎先輩だ。


「…ったく、千里は集中してるとまわりの声聞こえなくなるからなー」

「わかるかも。先生もたまにそうなっちゃうのよねえ」


はるな先生は気にする素振りを見せず、新太郎先輩に笑いかける。


志乃は押し黙り、少し怯えたような瞳で篠宮先輩を見つめた。



聞こえてないんじゃない。

先輩は聞こえてて無視したんだ。
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