あたしと彼と白いキャンバス
――最悪、だ。


先輩のせいで、それまでの雰囲気が一変してしまった。


会話が弾まない。

というか、ほとんど新太郎先輩とはるな先生しか喋らない。


嫌な空気が沈殿したまま喫茶店を出て、ダブルデートはお開きになった。




帰りの電車に乗ると、志乃が口を開いた。


「どうしちゃったんだろうね、千里先輩。全然喋んなくなっちゃって」

「んー」

「あたし、ちょっと恐かったかも…」


志乃の眉は八の字だ。
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