あたしと彼と白いキャンバス
――妹の笑顔は眩しかった。


朝。

目が覚めても、あの笑顔は網膜に焼きついたように離れない。


「お姉ちゃん、か…」


いろんなことから逃げるように一人暮らしをはじめたあたしを、

エリカはまだ好きでいてくれるだろうか。


あたしは寝起きで重い頭を抱えて、浴室に向かった。




ブブブッ。

シャンプーの香りに包まれて部屋に戻ったあたしを、震える携帯が出迎える。


ディスプレイには『篠宮千里』と名前が表示されていた。

メールじゃない。

電話だ。
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