あたしと彼と白いキャンバス
唾を飲み込んで、通話ボタンを押した。



「はい」

『小早川さん?』

「そうです」

『ごめんね、朝っぱらから電話して』

「大丈夫です」


先輩の声は普段どおりの優しい響きをしていた。

あたしは冷静を装い単調な受け答えをしながら、タオルで湿った髪を拭く。


『昨日は…悪かった。俺、酷い態度だっただろう?』


あたしは返事をためらい、沈黙のあとに口を開く。


「………なんだったんですか、あれ。志乃もビックリしてましたよ」
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