あたしと彼と白いキャンバス
『志乃さんにも悪かったって伝えてくれるかな』

「…いいですけど」


先輩に説明をする気はないようだ。

あたしはいかにも不機嫌そうな声で答えた。




『――小早川さん、怒ってるみたいだね』

「まあ、多少は」


だって先輩の声は綺麗なまま、いつもとなにも変わらないから、

謝る言葉が本当なのかわからない。


『本当に悪かったと思ってるよ』


ほら、そういう声も綺麗なまんまだ。


新太郎先輩は「超機嫌わりー」と言っていたけど、そんなこと微塵も感じさせない。
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