あたしと彼と白いキャンバス
自然な動きであたしの手を握り、引く。


恋人同士みたいに。


「な、なん…」

「車待たせてあるから、はやく」


急かすよう促されて、あたしは小走りで先輩についていく。


あたしに触れる先輩の指は冷たいのに、

自分の顔が熱くなるのを感じた。


…悔しい。




マンションの駐車場にはいかにも高級そうな黒い車があった。

運転席には黒い制服の運転手。

お抱え運転手ってやつだろうか。
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