あたしと彼と白いキャンバス
「降ろしてください」

「なにを今更」

「ですよね…」


すでに車は走っている。

あたしは諦めの溜め息を吐いた。



仕方ない。

覚悟を決めよう。

どうせ降ろしてはもらえないんだから。



あたしはソファみたいな心地のバックシートに身体を預けた。


「…昨日、新太郎先輩から電話がきました」


告げながら、横目で先輩の様子を伺う。
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