あたしと彼と白いキャンバス
アーチ型の扉を潜ると、そこは吹き抜けのホールになっていた。


「靴は脱がなくていいから」

「は、はい」


あたしは完全に圧倒されていた。

階段をのぼっていく先輩を、オロオロしながら追いかける。




「ここが俺の部屋」


案内されたのは二階の隅の部屋だった。

一人部屋にしては広い空間に、シンプルな机と大きな棚とテーブルがあるだけ。

棚には絵描き道具がごちゃごちゃと収められている。


「殺風景だろ?」


『お金持ち』って感じの部屋ではなくて、ちょっと力が抜けた。
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