あたしと彼と白いキャンバス
「しのー、こっちおいでよー」

「あ、うん」


友人に呼ばれて、目の前の彼女があたしのもとからいなくなる。


そうだ、彼女は志乃(しの)という名だった。

名字は思い出せないけど。


「あんた、なんでいっつも小早川に話しかけんのよ」

「あの人ほとんど喋んないし、なんか怖いじゃん、ねえ?」

「え、そんなことないよー」


こそこそ話はしっかりと聞こえている。



あたしはみんなから浮いている。

浮いている理由は知っているし、だからってなおす気もない。

人付き合いは面倒だ。




…どうして志乃はあたしに話しかけるんだろう?
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