あたしと彼と白いキャンバス
『あいつ、お前のこと気に入ってるからさー』


くそう。

新太郎先輩の嘘吐き。





部屋に入れば、涙でぼやける視界に入る白いキャンバス。

あたしはそのキャンバスを掴んで、壁に叩きつけた。



この白い絵の具は悪意だ。

先輩の、あたしに対する悪意。



絵をなくして動揺し、
白い悪意に落ち込むあたしを、

先輩は笑って(嘲笑って)見ていたに違いない。
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