あたしと彼と白いキャンバス
「うっせーんだよブサイクども!」

「口挟まないでくれる?」


矛先が移動した。

あたしはその隙に前をふさいでいる女子を押し退け、廊下に逃げ出す。


「あ、待て小早川っ」


背後から声が追いかけてきたけど、

あたしは振り向かなかった。





非常階段に辿り着いて、ほっと安堵の息が漏れる。

錆びた鉄の階段に腰をおろし、メロンパンにかじりついた。



ああ、これだから人間に関わるんじゃなかった――。



あたしの心情とは裏腹に、メロンパンは死ぬほど甘い。
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