あたしと彼と白いキャンバス
冬だというのに身体の奥から生まれる熱に追い立てられて、

あたしの額には汗が滲んだ。






――ピンポーン、ピンポーン。




インターホンの音が耳に届き、意識が絵の世界から現実に戻る。

外は暗くなりかけていて、
部屋の中も薄暗い。



…あたし、気づかないほど集中してたんだ。



あの白かったキャンバスには、今ではたくさんの色が溢れている。


厚く塗られた絵の具はグロテスクなくらいにテラテラと輝いていた。
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