あたしと彼と白いキャンバス
「エリカのちっちゃい~」

「大きいカップだと持てないでしょ? おかわりしてもいいから」

「うう~…はぁい」


ちょっと欲張りな『妹』と。
あたしを心配している『母』と。

ああ、まるで『家族』みたいだ。




「…結ちゃん、辛いなら学校なんて行かなくてもいいのよ」


ミカさんの声は柔らかく響く。


「中退したって死ぬわけじゃないし、中退が嫌なら転校だってできるし」


あたしのお母さんもこんな声で同じことを言ったかもしれない。


「わたし、学校に怒鳴り込んでもいいのよ。結ちゃんを虐めた子たちを殴りたいくらいだわ」


そんなことをするミカさんはイメージできなくて、あたしは少し笑った。
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