あたしと彼と白いキャンバス
「わたし、いいこと考えたわ」


あら汁をすするあたしに、ミカさんが微笑みかける。



「わたしの実家って高原でペンションやってるの。小さな宿なんだけどね」


知らなかった。

いや、今まではミカさんのことを知ろうとしてなかったんだ。


「空気が澄んでて綺麗なところよ。今の時期はスキー場になるの」




ミカさんはもったいつけるように一呼吸置いて、


「結ちゃんがよかったら、そっちに引っ越さない?」



そう言って小首を傾げた。
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