あたしと彼と白いキャンバス
空気をいっぱい吸い込んで、声にした。

少しでも勢いをつけないと言葉にするのは辛いから。



「…大嫌い、って言われました。篠宮先輩に」



新太郎先輩は目を大きくしてあたしの顔を覗き込んだ。


「千里が言ったのか?」

「はい」


泣きたくなるから、笑って返事した。

篠宮先輩も、志乃も、
あたしのことが嫌い――。


「で、チビちゃんは? 千里のこと好きじゃないって言ってたっけ?」



そういえば、そんなことを新太郎先輩に言った日もあった。
< 176 / 321 >

この作品をシェア

pagetop