あたしと彼と白いキャンバス
篠宮先輩を嫌いだった頃に戻れたら、楽になれるのに。


大体、むかつくんだ。

嫌がらせして八つ当たりして傷つけて、それでも綺麗な姿でいるなんて。

ずるい。

せっかく生まれた友情が風前の灯火なのも、ボロボロにされたノートも、

篠宮先輩のせいなのに。




「あんなやつ、きらい…っ」




俯いて言ったら、あたしの頭にゴツゴツした手がのる。


「――ったく、俺のまわりはひねくれ者ばっかだな」


新太郎先輩は大きく溜め息を吐いて、あたしの頭をぐりぐり撫でた。
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