あたしと彼と白いキャンバス
『お前は本当に絵を描くのが好きなんだな』

うん、大好き。
将来は画家になるんだ。

『そうか』

お父さん、近所の美術館でルノワールの展覧会がはじまるんだって。

『行きたいのか?』

うん。行きたい。いい?

『じゃあ、一緒に行くか』

やった! ありがとう、お父さん。

『たまには友達と遊ばなくていいのか?』

友達なんていないもん。いらないしさ。

『…そうか』

絵が描ければいいんだもん。
絵が描ければ幸せなんだもん。

楽しみだなあ、展覧会!




――また、夢を見た。

あたしはベッドの横の椅子に腰掛けて、眠っていたらしい。


先輩はベッドの上でスケッチブックを広げていた。
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