あたしと彼と白いキャンバス
「お、そろそろ昼休みが終わるな」


ああ、もうそんな時間か。

いつも昼休みはあっと言う間に終わる。




新太郎先輩の言葉を肯定するように、予鈴が鳴り響いた。



「…チビちゃんからあいつの話が出たから言うけどさ、」



教室に向かって階段を下りながら、
先輩はそう口を開いた。

普段は聞けない神妙な声で。





「千里のやつ、昨日から家に帰ってないらしい」





前を歩く先輩の表情は、見えない。
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