あたしと彼と白いキャンバス
薄く微笑んだその顔は白く。
掛け軸の幽霊が抜け出たようだった。
足元には数冊のスケッチブックが落ちている。
「なに…してるんですか」
「――寒いんだ」
先輩の手が伸びて、あたしの指を軽く掴む。
酷く冷たかった。
凍えた指先が赤く染まっている。
いつからこの場所にいたんだろうか。
あたしを待って、いたんだろうか?
「結、」
そんな悲しげな笑みで壊れそうな声で名前を呼ぶなんて卑怯だ。
――そしてあたしは扉の鍵を開けた。
掛け軸の幽霊が抜け出たようだった。
足元には数冊のスケッチブックが落ちている。
「なに…してるんですか」
「――寒いんだ」
先輩の手が伸びて、あたしの指を軽く掴む。
酷く冷たかった。
凍えた指先が赤く染まっている。
いつからこの場所にいたんだろうか。
あたしを待って、いたんだろうか?
「結、」
そんな悲しげな笑みで壊れそうな声で名前を呼ぶなんて卑怯だ。
――そしてあたしは扉の鍵を開けた。