あたしと彼と白いキャンバス
「勝手に人のこと描かないでください」

「怒った?」

「先輩に描かれると、盗撮されたみたいで気持ちが悪いんです」

「酷い言い方するなあ。俺だって傷ついたりするんだよ?」


先輩はにこにこと微笑んでいる。

傷ついてるようには見えない。


「描いていて思ったんだけど、君って色素が薄いんだね」

「……祖母はロシア人、みたいです」

「へえ。クォーターなんだ」


ギシ、とベッドが軋んだ。

好奇心に突き動かされるように、先輩が身を乗り出す。

じっとあたしの顔を見つめる。



ちょ、近過ぎ!
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