あたしと彼と白いキャンバス
「瞳の色もすごく薄いんだね」


囁くような声色だった。


「薄い薄い茶色だ。光に弱い?」

「…太陽の光は嫌いです、けど」

「そうなんだ」


ふいに先輩の指があたしの顔に近付いてきて、思わず顔を背ける。



「…あ、ごめん。珍しいから、つい」


はっとしたように目を見開いて、先輩は身を引いた。


それからスケッチブックの中のあたしと、椅子に座るあたしとを見比べる。

子供が動物を観察するような目だ。

好奇に満ちた目。



「小早川さん、お願いがあるんだけど」


またまた、嫌な予感。
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