あたしと彼と白いキャンバス
通話ボタンを押して携帯を耳に当てる。


「ミカさ…」

『結ちゃん。今、』


あたしの名を呼ぶミカさんの声は、普段よりも少し早口だった。


『今、病院にいるの』

「病院…?」


ぴりっと神経が張った。


眠気なんかどこかに吹っ飛び、

あたしは携帯の向こうのミカさんの声に耳を澄ます。




『昨夜、エリカが倒れて…』




一瞬、息が止まって(心臓も止まったかもしれない)、


「…エリカが?」


搾り出した声は掠れて消えた。
< 241 / 321 >

この作品をシェア

pagetop