あたしと彼と白いキャンバス
「ほら、これ飲んで落ち着いて」


先輩はあたしの手に熱い缶コーヒーを握らせた。

いつの間に買ったんだろう。

あたし、どうやって駅まで来たんだっけ。

なんだか電話がきてからの記憶が混濁している。



…混乱、していたからか。


「あの……すみません」

「別に。俺のココアのついでだから」


前を向いたままで答える彼の横顔を見る。



どうしてこの人はこの電車に乗っているんだろう?

先輩には学校をサボって病院に行く理由なんかないはずなのに。


あたしを心配してくれたんだろうか?
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