あたしと彼と白いキャンバス
「ゴミじゃねーよ、千里の馬鹿!」

「しんたろのが馬鹿」

「先に馬鹿って言ったほうが馬鹿!」

「じゃあやっぱりお前が馬鹿なんじゃないか」

「うるせー! てめーなんかアホだし!」

「先にアホって言ったほうがアホ」

「ぐ…っ」


他人の部屋でくだらないコントをはじめるな。



志乃は荷物をごそごそ探りながら、小声であたしに話しかける。


「…千里先輩って結構イメージと違うよね」


笑いを堪えている唇が震えていた。
それからキッチンを指差して。


「ね、結ちゃん。キッチン借りていい?」

「うん、いいよ?」
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