あたしと彼と白いキャンバス
「先輩!!」


あたしの叫びに空気が振動した。

それに驚いた男が覗かせた隙を先輩は見逃さず、ナイフを奪い取る。


「このガキ…!」


激昂した男に下から突き飛ばされ、
先輩の身体が机に叩き付けられた。


「……っ」


苦しげに歯を食い縛る、先輩の表情。


急激に腹が立つ。

恐怖が消し飛んでしまう程。



あたしは足下に落ちていたキャンバスを拾い上げ、男に向けて走った。
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