あたしと彼と白いキャンバス
 


「……ただ、君の絵を壊されたくなかっただけだから」



ぽつり、と。

独り言かと思えるくらいに小さな音量で先輩が言う。


心臓が止まるかと思った。



先輩をただ守りたかったあの時、

先輩はあたしの絵を守ろうとしてくれていたのか。




――もう、心臓なんか止まったっていい。
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