あたしと彼と白いキャンバス
「それはどうも」

あたしはムッとして彼を見る。



あたしと同じく美術部所属の、篠宮千里(しのみや・せんり)だ。

顔が整っていて背が高くて頭が良くて絵が上手くて家は金持ち。

その上愛想も良いとあって、女子からの人気が高い。



チビで無能なあたしとは大違いの、ご立派な先輩。

あたしはこの男が大嫌い、だ。




「いや、別に褒めてないけど」

「そうですか」


先輩は困ったような微笑みを浮かべた。

あたしの粗雑な受け答えに戸惑っているみたいだ。
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