あたしと彼と白いキャンバス
教室に辿り着くと、担任が驚いたようにあたしを見る。


「珍しいな、お前が遅刻なんて」

「…す、すみません。寝坊して」


走ってきたから上手く呼吸が出来なくて、声は掠れて裏返った。


「ヤバイと思って走ってきたんだな。はいはい、次からは気をつけろよ」

「はい」


俯いたまま机に座る。

廊下側の一番後ろの席。

冬場のこの席は酷く寒いが、今はそれが丁度よかった。



顔が、熱い。


わけのわからない感情がぐるぐると胸の中で渦巻いている。
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