あたしと彼と白いキャンバス
「わかった」


どこまでも意地の悪いあたしの提案を、先輩はあっさり快諾した。


「……卑怯だと思わないんですか、あたしを。先輩に探させて。きっと見つからない、のに」


先輩の思考が読めない。


「卑怯だと思うよ」

「じゃあ、なんで」

「卑怯でいいよ。嫌いでいい」


朝の、あの先輩が脳裏にフラッシュバックする。

きっと今も先輩は微笑んでいるに違いない。




「俺のことを嫌いな小早川さんが、大好きだよ」



…あたしにはその言葉の意味がわからない。
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