あたしと彼と白いキャンバス
モデルを引き受けることになったんだと気付いたのは、部屋に帰ってからだった。


――それもさほど嫌じゃない。

絵を見つけてくれたお礼だ。




持ち帰ったキャンバスを眺めていたら、酷い眠気に襲われて。


「ああ。疲れたかも…」


夢の中に、逃げる。



白いキャンバス。

犯人は誰なのかとか、
なんのためにこんなことをとか、

そんなことを考えたくはなかった。


できるだけ悪意には触れたくない。

知らないふりをしていたい。


あたしは、意気地なしだ。
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