あたしと彼と白いキャンバス
先輩よりは背が低そうだけど、がっちりとした体格の男子だった。

明るい色に染められた短い髪はツンツンしている。


「美術部の後輩」

「ふーん。ちっこくてかわゆいねー。お名前はなんでちゅかー?」


そんな聞き方されたら素直に答えたくない。

シカトを決め込んだあたしに、その男はすぐに興味を失ったようだ。


「…つーかはやく! ノート貸せって!」

「それって俺にメリットないよね?」

「俺様特製シュークリーム!」

「はいはい」



変な言い方かもしれないけど、

友人らしい人間と会話している先輩はなんだか『普通の人間』っぽい。
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