あたしと彼と白いキャンバス
あたしはぬいぐるみを抱いて椅子に座ったままで、

同じポーズを続けているのは結構辛いものだと感じはじめていた。




「…小早川さん、冬休みの間のことなんだけど」

ふいに先輩の口が開く。


あたしはドキリとして唾を飲んだ。

先輩が手紙のことを知っているはずがないのに。


「もちろん休み中もモデルをやってもらうつもりだけど、場所を変えたいんだ」

「え」

「家に来てくれないかな。衣装もこっちで用意するし」

「え」

「正月が過ぎたら。1月4日はどう?」

「いや、ちょっと待ってください」
< 60 / 321 >

この作品をシェア

pagetop