あたしと彼と白いキャンバス
先輩はぴたりと筆を止めて、あたしを見つめる。


「なにか他に予定でも?」


にっこりと微笑んだ先輩の目が怖い。

予定もないのに断われるわけないでしょ、みたいな圧力を感じる。

顔が綺麗なだけに迫力が半端ない。




「……と、友達と映画を観ようと…」


しどろもどろ。

我ながら下手な嘘だ。



先輩は少し考えるような素振りをして、筆を宙でふわふわ揺らした。
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