あたしと彼と白いキャンバス
「1月4日。君と志乃さんと俺と新太郎と、4人で」


先輩はあたしの横を通り過ぎながら、小さく囁く。


「ダブルデートみたいで面白いよね」


純粋に楽しそうな先輩の声が、

あたしには悪魔みたいに思えた。




先輩が去った後に教師がやってくると、女子たちの浮き足立ったような空気は消えた。


「小早川さん、」


席に着いたあたしに志乃が声をかける。


「小早川さんが千里先輩と仲良しだなんて知らなかった。…映画楽しみだね」


志乃の瞳はキラキラと輝き、

あたしの頭を重くさせる。
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