あたしと彼と白いキャンバス
その日の放課後も美術室に向かう。


あたしは先輩の顔を見るなり文句を垂れた。


「先輩って勝手ですよね」

「そうだよ?」


先輩は当たり前みたいに肯定する。


「…なにがしたいんですか?」



「楽しいことがしたいだけだよ」



暖簾に腕押し、ぬかに釘。

先輩を責めようとして発する言葉にはなんの効果もなかった。


「そんなことより、さっさと椅子に座って芋虫抱いて。君はモデルなんだから」


敵は手強い。
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