あたしと彼と白いキャンバス
カップラーメンを食べた後にシャワーを浴びた。


身体にも髪にも油絵の具のにおいが染み付いている。

爪と皮膚の間には油絵の具が入り込んで、洗っても落ちなくなっていた。




濡れた髪を拭きながら部屋に戻ると、テーブルの上で携帯が震えている。

「メール?」

携帯を開いて小さなディスプレイを確認する。

「お父さん…」



『元気か? たまにはうちに帰ってきなさい』



週に二回くらいのペースでお父さんからメールが送られてくる。

娘の一人暮らしを心配しているんだろう。


『元気だよ。そのうち帰るね』


当たり障りのない、曖昧なメールを返信した。

短い髪をドライヤーで適度に乾かして、ベッドに倒れ込む。

ああ、なんか疲れちゃったな。





意識が夢へと落ちるのは、すぐだった。
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