あたしと彼と白いキャンバス
「…じゃあ、あたしは志乃と話して映画の内容とか決めるんで、そっちはそっちで希望があったらメールしてください」


結局最後はあたしが纏めた。


「ああ、うん。そういうこと。よろしくね、小早川さん」


篠宮先輩はいつもの調子をなんとか取り戻しつつあった。

横からにゅっと新太郎先輩の手が伸びてきて、あたしの頭をがしっと捕まえる。


「当日はかわいー格好してこいよ、ダブルデートだかんなっ」


うげ。


「俺もそれは見てみたいな」

「いや、無理です。そういうのはっ」

「大丈夫。小早川さんは可愛いから」


そういう臭い台詞を綺麗な笑顔で言わないでほしい。
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