あたしと彼と白いキャンバス
「うちなんか実家だから、もうお母さんがうるさくって」


はああ、とわざとらしい溜め息を吐く志乃。


「恐いの?」

「ううん。あたしが出かける度に『彼氏できたの?』ってうるさいの」

「心配してるんだ?」

「違う意味で心配してるみたい。『早く彼氏つくれ』って言うんだもん。変な親でしょ」


想像して、あたしは軽く吹き出した。

きっと仲の良い親子なんだ。


「結ちゃんのお母さんはどんなかんじ?」



「え…と、」


言葉に詰まる。
< 86 / 321 >

この作品をシェア

pagetop