あたしと彼と白いキャンバス
あたしはおかしな表情をしたのかもしれない。




「――あ、お参りしなきゃ。行こう?」


志乃はなにかを察したようで、話題を変えてあたしの手を引く。

…気を遣わせてしまった。



「ねえねえ、結ちゃんはどんな願い事するの?」

「んー…。健康かな」


我ながら詰まらない返答をしてしまった。

願いなんてとっさには思いつかない。


「志乃は?」

「あたしはねー、先輩たちとのダブルデートがうまくいきますようにって」


志乃の頬が赤くなる。
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