あたしと彼と白いキャンバス
「今更、あんな夢…」


思わず溜め息が口をついた。

なんだかだるい。

学校行くの面倒だな…。

あたしは枕もとの携帯電話を手にとって、学校へ電話した。


「すみません、風邪みたいで」

「なんだか熱があるみたいで」

「はい、明日は行けると思います、たぶん」


仮病は成功した。




夢の中のあたしは無邪気だった。

純粋だった。

お父さんのことが大好きで、見たこともないお母さんのことも大好きで。


ルノアール展のチラシに載っていた裸婦の絵を切り抜いて、

「あたしのおかあさん」だなんて言って持ち歩いていた。


絵を描くのが大好きだった。




昔のあたしが今のあたしを見たらどう思うだろう?
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