私とあなた。
その時、頭上から「斉藤」とあの低くて透き通った声がした。
私が顔を上げると、やっぱりそこには坂田君がいた。
「…坂田君」
坂田君は目を赤くはらした私を見て心配そうな顔になって言った。
「…大丈夫?」
「……うんっ…。」
「血、苦手なんだ。」
「…うんっ…。」
「あ。あの先輩なら大丈夫。もう意識もあるし。」
「良かっ…たっ…。」
それでもまだしゃくりあげる私の頭にポン、と手を置き。
「あんまり泣くなよ…焦るだろ…」
とぼそっと私に呟いた。
私が驚いて坂田君を見つめると、「よしよし」とぶっきらぼうに頭をなでてくれた。