忘れられない人。

土曜日。
学校の裏門へと歩いて行く。


あたしは朝から不安でしょうがなかった。

今日は朝からの大雨。
優ちゃんの部活はもちろん中止となっているはず。
あたしは不安ながらも傘を片手に歩き続ける。

『やっぱ来てないし...』

部活の活動場所であるテニスコートには、水たまりが沢山出来ているだけで、人の気配などまったくなかった。

『どうしよっかなあ...帰ろっかな』

来るはず無いか、と呟くと、あたしは一歩踏み出した。
その時だった


『杉野!!』

『...優ちゃん!』

傘を持って現れたのは、他の誰でも無く優ちゃんだった。
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