忘れられない人。
桜が眩しい春。
門をくぐり抜けると、男子テニスコートから部活のかけ声。
少し歩くとランニング中のバスケット部。
今日からあたしは中学生になる。
ついこの間まで小学生だったあたしにとって
中学生とは憧れの存在だった。
新しい1年2組の教室に入ると、まだ緊張感があるためか
人数の割には静まり返っていた。
『この教室暗いち思わん?』
席で荷物整理をしていると
前の席の清水まどかが喋りかけて来た。
『そうやね~...空気重いし』
笑いながらそう言うと
『あっまどかっち呼んで!杉野さんは?』
『わかった、千夏っち呼んで』
まどかとの出逢いは
あたしにとってかけがえのないものとなる。