楽園─EDEN─

「…ッ…ハ……ァ…ッ」


様々な彫刻で彫られたその豪華な扉を開け放ち、だだっ広い食堂に勢いよく滑り込んできたのは……これまた、白髪の異形を持つ燕尾服姿の男であった。


そして、もちろんその男の正体こそが…世界一、不運で、不憫で、哀れ……な執事である。



「はっ…はぃ……な…何でしょうか…ゲホッ………マイ…ッ…ロード(御主人様)」


酸欠に息を切らし、ヒューヒューと苦しそうな音を喉で鳴らしてイヴが言った。


急激に酸素を取り込もうとする彼の肺は、限界の許容量を越えてイヴを咳き込ませる。


すると、ヒュッ──…、と空を切る音がして彼の目の前に突きつけられた何か…


「……ッ!」


「遅い」


それは紛れもなく、先端が三又に別れたフォークであった。

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