楽園─EDEN─

「…ヒ……ッ」

眼前に差し出されたその鋭い切っ先に、イヴは息を詰めた。


まだ酸素を取り込みきっていない肺が、苦しさで酸欠を訴える。

息苦しいのに加え、妙に早く鼓動する胸の動悸…かなり危険な状態だと認識した。



だがしかし、当のエリゼはと言うと……みるみると色をなくし息苦しさに青ざめるイヴを、これでもかと言うくらいジーッと観察して未だにその状態を維持する。


そのあまりの拷問ぶりに、イヴは本気で心の底から泣きたくなった。



「エリゼ様」

その状態を見越してか、スズネがまた例の冷静沈着な声で告げた。



そして、その一言を切っ掛けにエリゼの怒声が飛ぶ。
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